訪問看護の加算を知って質の良いサービスを届けよう
加算ってどんな役割?
訪問看護サービスによる報酬は、介護保険による報酬と医療保険による報酬から成り立っています。要介護認定や利用者の疾病の有無によって利用する保険が異なってきます。この基本の報酬にプラスして加算制度があります。
加算とは、基本の保険報酬に対して一定の条件を満たした、質の高いサービスを提供した場合に支払われる報酬のことを指します。
加算制度は在宅で必要とされるサービスを充実させることや、より質の高いケアを提供するために設けられています。
またステーションの経営の視点から見ても、正しい加算を請求することはとても重要です。ステーションの特徴や強みを活かし、加算が多いほどより看護の質の高いサービスを利用者に提供することに結びついており、訪問看護ステーションとして報酬を得ることになります。
利用している訪問看護サービスが医療保険か介護保険によって名称や条件、料金などの要件が異なります。
ここでは訪問看護においてよくみられる、ターミナルの加算についてみていきましょう。
ターミナルケアの加算の種類
「医療保険」か「介護保険」かの確認を
ターミナルケアの加算といっても医療保険と介護保険かによって、名称や算定要件が異なります。
よって、利用者がどの保険を利用しているのか、どの要件に当てはまるのかを確認して、報酬請求を行います。
何を算定するのかという判断を間違わないように行うためには、明瞭で正確に訪問看護の記録を行うこと、実施したケアが算定条件に当てはまるかどうかを確認し、算定漏れが生じないようにします。
〈医療保険の場合〉
①ターミナルケア療養費1
在宅で死亡した利用者または特別養護老人ホーム等で死亡し、看取り介護加算を算定していない利用者
②ターミナルケア療養費2
特別養護老人ホームで死亡し、看取り介護加算を算定している利用者
※看取り介護加算とは
老衰や疾病の回復の見込みがないと診断された方で、医師や看護師などの多職種と連携しながら介護施設で看取る場合に加算される介護報酬。
算定要件
- 主治医との連携をもとに在宅または特別養護老人ホーム等で死亡した利用者(ターミナルケアを行った後、24時間以内に在宅以外で死亡した者を含む)に対して、ターミナルケアを実施していること。
- 死亡日及び死亡日前14日以内の計15日間に2回以上、訪問看護基本療養費または精神科訪問看護基本療養費を算定していること。
- 訪問看護ステーションの連絡担当者の指名、連絡先電話番号、緊急時の注意事項について利用者及びその家族に説明した上でターミナルケアを行っていること。
〈介護保険の場合〉
ターミナルケア加算
算定要件
- 24時間連絡体制我確保された事業所であり、かつ、必要に応じて訪問看護を行うことができる体制が整備されていること。
- 主治医との連携のもとに訪問看護におけるターミナルケアに係る計画及び支援体制について、利用者及びその家族への説明を行い、同意を得ていること。
- ターミナルケアの提供について、身体の変化など必要な項目が訪問看護記録書に記載されていること。
2024年は介護報酬の改定の年
2024年4月に介護報酬改定が行われます。
ターミナルケアの算定については介護保険、医療保険と共に年々増加しており、その背景としては自宅での看取りを希望している人が増えていること、がんを筆頭に心不全、腎不全、慢性閉塞性疾患の患者さんが増加していることなどが挙げられます。
このように時代のニーズや背景とともに、利用者のニーズは変化していき、訪問看護ステーションの役割は大きく変化しています。診療報酬、介護報酬の改定の動きに敏感にキャッチし、より質の高い看護を提供できるようにアンテナを張るようにしましょう。
訪問看護における主な加算については在宅看護指導士の公式テキストで学ぶことができますので、皆さんが普段行っているケアはどのような加算に該当するのかじっくり見てほしいと思います。
「在宅看護指導士」は、在宅看護・訪問看護の視点に特化した知識とスキルを学び、人・組織・地域を育てる専門資格です。
訪問看護師であれば知っておきたい、緊急性の見極め方から家族支援、訪問看護事業の運営、リスク管理などを包括的に学習します。
訪問看護に魅せられている方、訪問看護に飛び込んでみたい方、管理を任されている方に、おすすめです。