COPD患者さんに訪問看護師としてできること①
在宅看護で関わっていく疾患の中で、慢性閉塞性肺疾患(COPD)はよく耳にすることかと思います。
今回はCOPDについてご説明します。
社会背景を踏まえたCOPDと生活習慣病
COPDとは「タバコの煙を主とする有害物質を長期に吸入暴露することなどで生ずる肺疾患」と定義されており、在宅看護で関わるCOPDの方のほとんどが喫煙の経験がある方です。
喫煙率は1960年代、男性が約80%、女性が約15%と非常に高く、以降男性は減少傾向、女性はほぼ一定で推移しています。
そして現在、私たちが普段関わる高齢の方々には、タバコに関わる機会が多かったという社会背景があるのが事実です。また、習慣的に長期間喫煙することで肺の機能低下や生活習慣病を発症する原因となっています。
在宅での治療の継続
COPDがありながら日常生活を送ることは、多くの体力を使うことが予測されます。些細な運動での呼吸困難やしんどさなど、その全てが日常生活での活動量の低下を起こし、生活の質を下げることに繋がります。不可逆性の疾患のため、治癒することは難しいですが、在宅に戻っても基本の治療と予防の継続は、症状緩和、QOLの向上につながるため大切になってきます。看護師は酸素や薬剤の使用方法、注意点など説明していきましょう。
COPD患者さんの在宅ケア
COPDの患者さんは多くの課題があり、患者さんとご家族だけで解決していくことは難しく不安もあると思います。では、実際に在宅でのケアについて説明していきます。
治療の説明と管理方法について
処方される吸入薬は、症状悪化の予防に吸入する長期管理薬と、呼吸困難時に使用する発作治療薬があります。ステロイド吸入後には口や咽頭にステロイド剤が残るのを防ぐために、うがいを習慣化する必要があります。吸入方法を含めて一連の動作を訪問時に確認することが効果的です。
HOTを使用されている方では、火の取り扱いやCO₂ナルコーシスの症状、呼吸困難時の対応、災害時の対応なども確認しましょう。呼吸がしんどくなってからでは落ち着いて判断できない場面もあるため、事前に確認しておきましょう。
外出時の酸素使用方法など、日頃からどういった場面で呼吸困難になるのか、訪問時に聞き取りを行い振り返ることで、患者さんの疾患の理解や対処法を話し合うことにもつながります。
体力維持を大切にする関わり
消耗性疾患のため、体力維持に視点をおいた関わりが在宅生活を送る上で大切になってきます。食事は嚥下時に呼吸困難を起こし、食事時間がかかってしまい、食事量を摂ることができないことがあるため、食べやすくカロリーがあるものなどの情報提供も大切です。また、早期からの呼吸器リハビリテーションの介入も気道クリアランスをはかり、持久力、ADL低下の予防につながります。
コミュニケーションの必要性
酸素ボンベの使用や呼吸困難の不安から活動範囲が狭まり、対外的な関わりが減ってしまうことが多く見られます。また、COPDは急性増悪と寛解を繰り返しながら、徐々に悪化していくため、気持ちのケアも重要です。
コミュニケーションをとることで、抱えている不安や思いを受け止め、少しでも解消することができれば、安心感を感じてもらえると思います。「前までは出来たことなのに」と喪失感を口にされるケースも少なくはありません。
疾患のことだけでなく、楽しい話題を提供することで、訪問看護師と話す機会が増え、訪問が少しでも楽しい時間だと感じてもらえる機会につながります。
COPDと訪問看護で大切なこと
不可逆性の疾患のため、病状のコントロールを行いながら生きることに視点を置き、どのような生活を送りたいか話し合い、寄り添い支えることが訪問では大切です。
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