糖尿病の患者さんがシックデイになったらどうする?
糖尿病の患者さんがシックデイになったら
シックデイとは糖尿病のある患者さんが、何らかの感染症に罹患してしまい、発熱や下痢、嘔吐などで食事ができない状態をいいます。なぜ糖尿病のある患者さんが感染症になったら怖いのでしょうか。
シックデイとなってしまったら……
- ①感染
- ②インスリン拮抗ホルモンによる血糖値の上昇+発熱や下痢嘔吐などによる血管内脱水による血糖値上の昇
- ③血糖値の上昇による免疫機能の低下
- ④高血糖上昇による感染源の活性化
このように⇨②⇨③⇨④⇨②…と悪循環のループとなり、重篤化しやすくなります。
もし何らかの感染症に罹患してしまった場合は、早期発見・早期治療を行い、悪循環のループを断ち切る必要があります。
感染経路は、呼吸器系感染、尿路系感染、皮膚感染、消化器感染、歯周病などがあります。
そのため、感染予防でシックデイのリスクを軽減させ、普段の診察時にシックデイの対応(薬剤の調整を含む)についてかかりつけ医に確認しておくと良いでしょう。
シックデイの基本ルール
シックデイルールとはシックデイ時に行う対応を言います。
このシックデイルールの基本は血糖値と感染症の対応を同時並行し治療をおこなう!ことです。
感染症を甘く見ない、安静臥床する、消化の良いものを食べる、こまめに水分摂取を行う、身体症状や低血糖・高血糖症状のモニタリングをする、症状が悪化した時にはかかりつけと連携して対応する、というのがシックデイルールとなります。
(※食事摂取ができないのに、血糖降下薬を内服し続けることによって低血糖のリスクが高まります。)
身体症状(38度以上の発熱や下痢嘔吐、ぐったりしている、腹痛を訴えている、バイタルサインの変化がある、食事摂取ができない)や高血糖症状(口渇・多尿・脱水など)の出現があるにも関わらず、経過観察のままでいると、重症化し生命の危機的状況に陥る可能性があります。
身体症状や高血糖症状が出現したときには、すぐにかかりつけ医の受診あるいは救急対応が必要です。
訪問看護師の方に知っておいてもらいたい看護ケア
もちろん、シックデイ予防のため普段からの感染予防はとても大切になります。
口腔清潔や身体清潔、血糖値の悪化予防、脱水予防、傷を作らない、褥瘡予防、高血糖を放置しないことなどが大切になります。
利用者さんから「風邪をひいたようだ、たいしたことはない。大丈夫、このまま様子をみる」と発言があった場合は、どのように対応すべきでしょうか。
どこまで在宅で様子をみても大丈夫かを考えなくてはなりません。
見た目が大丈夫そうでも、バイタルサインや症状の観察や問診を行う
糖尿病のある患者さんは症状が軽度にしか出ないことがあるので、「いつもと変わりない」という反応になりやすくなります。「喉に違和感がありませんか?おしっこの量や回数、飲む量が増えていませんか?」と細やかな問診をオススメします。
安静を促し、消化のよい食事をすすめる
消化器官に負担をかけないような消化の良い食事をすすめます。
こまめな水分摂取を促す
スポーツ飲料などの糖分が多く含まれている飲料を一気に飲むと、急激な血糖値上昇となり危険です。食事摂取ができるのであれば、水やお茶の水分摂取でよいでしょう。
受診のタイミングについて、かかりつけ医に相談する
2~3日様子をみて、一向に症状の改善がない場合は受診したほうがよいでしょう。ただし、身体症状や高血糖症状がある場合はすぐに受診してください。
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