在宅における排泄の援助 - 一般社団法人全国在宅医療マネジメント協会

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在宅における排泄の援助

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排泄は「恥ずかしい」こと?

30年前になりますが、初めて海外旅行に出かけたときに空港のトイレのドアに大変驚きました。

なんと足も頭も外から見えてしまう真ん中に短い扉があるだけでした。日本ではトイレのドアは上から下までピッタリと閉まるものであることがほとんどです。

また1980年代には排泄の音を消すために「音姫」が開発され、ウォシュレットと共に「音姫」のボタンが付いているのをよく見かけます。

排泄音すら聞かれるのがとても恥ずかしいと思うのが私たちの文化です。しかし諸学国、特に中国などでは他人の顔を見て話をしながら用を足すという文化の地域もあります。日本人には考えられないことです。またトイレの消臭剤なども日本製のものは群を抜いて優れています。日本人は排泄をことさら「恥ずかしい」ことというカルチャーを持つことが強い印象です。

排泄介助をする訪問看護師

そんなにも「恥ずかしい」ところを人に取り扱ってもらわないといけないストーマケアや膀胱留置カテーテルのケアは、デリケートで相手の思いに深く配慮することが求められます。

そして、常に頑張って療養している姿を労うことも大切です。

ここではストーマケアと膀胱留置カテーテル、それぞれの在宅看護での特徴を挙げます。

在宅看護におけるストーマケアの特徴

自己管理の重要性

在宅のストーマ療養者は、自己管理をすること自覚も求められます。

看護師は療養者や介護者にストーマケアの方法を教育し、入浴時や外出時など様々な場面で起こりうるトラブルに対処するためのスキルを伝えます。

環境への工夫

在宅は病院や施設とは異なります。

看護師は、住環境に適したストーマケアを提供するために、環境や家庭の特性を考慮する必要があります。

浴室を使う場合もあれば、居間のソファーで交換をする場合もあります。

最初は療養者や家族とよく話し合ってより良いやり方を模索します。

レジャーシートや45リットルのゴミ袋を汚染予防に使う、安価な不織布を使用するといった工夫をします。

家族や介護者への教育

在宅のストーマ療養者は、家族や介護者の支援が欠かせません。

看護師は、家族や介護者にストーマケアの方法や患者のサポートについて教育を行い、安心して療養生活が送れるように支援します。

継続的なフォローアップと連携

定期的なフォローアップは病院のストーマ外来等で行われます。

訪問看護師は定期的にストーマ外来の皮膚・排泄認定看護師(WOCナース)等と連絡を取り、一緒に療養者の状態を評価し、必要に応じて看護計画を調整します。

心理的支援

ストーマ手術そのものがそもそも療養者にとって大きな心理的な負担となり、再発のリスクの不安を抱えているのが通常です。

在宅看護では、看護師が療養者や家族の心理的な支援をします。

ストーマに関する不安や鬱もみられることがあり、傾聴し心理的支援を行います。また必要な時には精神科受診に繋げたりもします。

緊急時の対応

在宅中に突然のトラブルに直面することがあります。

夜間ストーマからのに漏れが生じるなど様々なことが想定されます。

看護師は、緊急時の対応に備え、患者や介護者に適切な対処方法を指導します。

在宅看護における膀胱留置カテーテルケアの特徴

定期的なケアと管理

膀胱留置カテーテルを使用する患者は、定期的なケアと管理が必要です。

カテーテルの清潔を保ち、定期的な交換やケアを行うことで、感染や合併症のリスクを最小限に抑えることが重要です。

陰部洗浄は基本的に毎日行います。

療養者と家族等の教育

療養者と家族や介護者(ヘルパー等)への教育が必要です。

訪問看護師が毎日訪問するとは限らないため、カテーテルの正しい管理方法や陰部洗浄、合併症の早期発見について指導し、セルフケア向上にむけた指導が必要です。

症状の早期発見

尿路感染やカテーテル関連の合併症のリスクが常にあります。

異常早期に発見して予防的な対応を行います。

カテーテルの詰まりや膀胱炎などの感染が原因で発熱時の対応についてあらかじめ主治医ともよく相談しておくことが大切です。

現在、病院などでは膀胱洗浄を行わなくなりましたが、在宅では頻回な詰まりや、夜間等に詰まるリスクを考えて医師の指示のもとに行うことがあります。

次回の訪問日までの安全の確保を見据えたケアが必要になります。

生活の質の向上

看護師は、患者と家族に適切なケアを提供し、

  • 外出先での蓄尿量が増える不安を減らす
  • レッグバッグを使用する
  • カテーテルの先端にディブキャップを接続し、開閉できるようにすることを試みる

などを提案して、生活の質を落とさないサポートを行います。

排泄ケアの難しさ

認知症の療養者の留置カテーテルやストーマケアは本当に大変です。

超高齢化社会となり、それに伴って増える認知症患者。

その自己管理の大変さを考えても装着するべきなのかどうかの選択を迫られることもあります。

ペットを飼う家も増え、留置カテーテルをペットがじゃれて噛んでしまったり管に引っかかったり、トラブルになる可能性もあります。

高齢化・多様化が進む新時代の中で排泄ケアを考えていくことの難しさをいつも感じています。

しかし、羞恥心に配慮し、生きがいを持って生活できる支援はいつの世も在宅看護をするものに求められているのです。

 


 

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