オンコール対応とは?準備から対応まで徹底解説!

第3回 在宅看護指導士認定試験
訪問看護では、利用者さんやご家族が安心して在宅生活を送るために、昼夜を問わず支える仕組みが必要です。その一つが「オンコール対応」です。
本記事では、オンコールの基本から実際の業務内容、頻度や手当、心構えと課題までをわかりやすく解説していきます。
訪問看護におけるオンコールとは
オンコールとは、24時間365日体制でステーションの利用者さんへの緊急時の対応を行うために、当番制で対応することです。
訪問看護ステーションの中で、
- 24時間対応加算
- 緊急時訪問加算
を算定しているステーションには必ずある業務です。
オンコールは基本的にオンコール専用の電話で対応し、利用者さんと家族の状態や希望に合わせて駆けつけるという体制になっています。勤務時間外でも、オンコール当番の場合は携帯を持ち帰り、自宅待機となります。
受け持つ患者さんによってオンコールの頻度は異なります。終末期で看取りが近い人や医療的ケアが多い人、退院直後、転倒歴がある人などはオンコールを利用する可能性が高くなります。
オンコール対応の頻度
全国の平均的なオンコール当番の回数は週1~2回が最も多くなっています。
オンコールの当番となる人数は、
①メイン1人
②メイン1人+サブ1人
というところが一般的です。
ただし、事業所や施設の規模、利用者の状態によって頻度は変わります。
また、小規模であれば管理者が行うところもあります。
中には、メインが1人であってもSNSでいつでも他のスタッフや管理者に相談できる体制を作り、安心してオンコールに臨むことができるように工夫しているステーションもあります。
オンコールの手当、報酬
オンコール手当は1回1,000円~3,000円程です。
実際に緊急訪問した場合は、
- 時給制だと1時間あたり2,000円~5,000円、
- 定額制なら1回出勤ごと5,000円~10,000円
が相場になっています。
オンコールの業務内容(どんなオンコールが多いか)
オンコールがあったらまずは電話でしっかり相手の話を聞き、緊急性が高いものかどうか確認します。
次に、自宅から訪問先までどのくらい所要時間がかかるか確認し、相手に伝えます。
緊急性が高いオンコール
- 呼吸が早い、止まっている、意識レベルが低い
- 転倒して動くことができない
- 体の一部に耐えられないほどの強い痛みが出た
このような症状がある場合は、命の危機が考えられるため、すぐに救急車の要請を依頼します。
もしも、独居の場合は看護師が代わりに救急車を要請する場合があります。
実際に出動するケースが多いオンコール
オンコールで実際に出動したケースで多いものは、
- 服薬方法がわからない
- ケアの方法がわからない
- 転倒した
- 家族の不安をとりのぞく
といった内容が多く見られます。
オンコールがかかってきたときは、まずしっかりと訴えを聞くことで、冷静に状況判断を行います。中には、実際に出動をしなくても本人自身や家族が対応できることもあります。
もし、対応に困ったらサブのオンコール担当者や、社内SNSでスタッフに相談するのも一つの手です。
オンコール当番の日の準備と過ごし方
オンコール当番当日の過ごし方を見ていきましょう。
準備
オンコールがありそうな利用者さんの情報を確認しておきます。
具体的には、状態が安定しない人や看取りが近い人、直近でオンコールがあった人などの記録やスタッフからの情報を確認し、対応方法を決めておきます。
また利用者さんや家族には、日頃から起こりうる症状や対応策について伝えておきます。
例えば「看取り」の場合は、どのような体の変化が起こるのか、痛みや症状が出現した場合にどのように対応をすればよいかなど、訪問時に具体的に伝えておくことで、夜間のオンコール減少に繋がります。
過ごし方
日勤帯ではオンコールの電話を持ちながら訪問を行います。
訪問中の場合は、なるべくすぐに電話対応ができるようにしておきます。
ステーションの営業終了後の場合はすぐに電話で対応ができるようにすれば、それ以外は通常通りに過ごしても大丈夫です。
ただし、緊急時訪問に対応できるように飲酒は避け、遠方の外出は避けるなど注意が必要です。
出動後の対応とは
オンコールに対応したときは、記録にいつ電話があり、どのように対応したかを残すようにし、社内SNSなどで他のスタッフと情報共有できる体制作りも大切です。また実際に出動した場合は、記録と同時に事務所にもオンコール出動をしたことを伝えておきましょう。
はじめてのオンコール対応にはとても緊張するものですが、仲間や管理者に相談しながら対応するとよいと思います。
オンコール対応に必要なスキルとは
オンコール対応は、責任感や判断力が必要とされます。精神的・身体的な負担はありますが、適切に判断できたときには、大きなやりがいと達成感を得られるでしょう。
必要なスキルとしては、冷静な判断ができることや、電話対応にも柔軟に対応できることです。さまざまな状況に対応する訪問看護師としての専門性を高めたい看護師に適しています。
オンコール勤務で感じる負担とストレスとは
オンコール対応は身体的・精神的な負担も伴います。また夜間や休日の呼び出しによる外出や飲酒の制限がかかり、プライベートが制約されがちです。
特に子育て世代の看護職員は両立が難しく、精神的なストレスが大きい場合もあります。オンコールの回数が多いと負担が大きくなるので、ステーション内でオンコールの対応をする人が一部の人に偏っていないか確認し、一人で判断することが難しい場合は、相談できる人がいるかどうか、オンコール手当など事業所の体制が整っているかなどを確認しておきましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。オンコール対応は、利用者や家族の安心を守る大切な業務であり、看護師には責任感と判断力が求められます。オンコール勤務を控えている方は、不安もあるかもしれませんが、冷静に対応できるようにしっかり準備をしておきましょう。
参考
1)コメディカルドットコム編集部(編). オンコールとは?オンコールがある職場・頻度・手当を解説. コメディカルドットコム. 2023. 最終アクセス日:2025年8月28日
https://www.co-medical.com/knowledge/article227/
2)ナース24編集部(編). 訪問看護のオンコールとは?内容・回数・手当・マニュアルを解説. ナース24. 2023. 最終アクセス日:2025年8月28日
3)スマイルナース編集部(編). 看護師のオンコール対応とは?仕事内容や手当、メリット・デメリットを紹介. スマイルナース. 2023. 最終アクセス日:2025年8月28日
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