「在宅での看取りケア」を支援する訪問看護
「在宅での看取り」が多い理由
日本では超高齢化社会を迎え、在宅医療を必要とする人は2025年には29万人にのぼると言われています。そして国民の60%以上は「自宅で療養したい」と回答しています。
多くの人が住み慣れた自宅で過ごし、希望する場合は自宅での看取りも選択ができるように国ではどんどん在宅医療が推進されています。そのような状況に応じて訪問看護ステーションのニーズもますます高くなるといえるでしょう。
実際、訪問看護の現場では多くの看取りを経験します。終末期のがんの患者さんをはじめ、難病の患者さん、心不全や慢性腎不全、慢性閉塞性肺疾患などの非がんの患者さん、認知症の患者さんなど原疾患は様々です。
しかし、共通して言えることは、患者さんの予後が残り少ないとわかった時に、ご本人が「自宅で最期を迎えたい」という過ごし方を受け入れ、本人と主たる介護の方の支援することが訪問看護師の役割とも言えます。
訪問看護における看取りのポイント
1.看取ることのできる人や環境を整える
ご自宅で最期まで過ごされることを希望される場合、介護力や介護に必要な資源を準備する必要があります。
看取ることのできる家族や身近な人の支えが必要ですし、また介護できるキーパーソンがいる場合でも、介護負担が大きくなっていないかを配慮する必要があります。
ケアマネジャーと連携し、必要な介護サービス(ベッドやポータブルトイレなどの介護物品、訪問入浴、訪問介護の手配など)を提案します。そしてご本人の体調や家族の介護状況に合わせて訪問看護の回数や時間帯を調整していきます。
例えばがんの末期と診断された場合は、別表7の末期の悪性腫瘍に該当するため、介護保険であっても医療保険に切り替わり、週4日以上、かつ1日2回から3回利用することができます。
また、在宅医との連絡方法を確認し、患者さんの状態や往診時の様子について情報交換ができるようにしておきます。加えて、レスキューの使用方法や処置方法を確認しておくことも大切です。緊急時や自宅で看取ることが困難になった場合に備えて入院ができる病院を確認しておきます。
2.いつでも訪問できる支援体制を整えておく
自宅で看取る場合は24時間緊急時に対応できる訪問看護ステーションが対応することになります。
患者さんの状態が変化したときや、自宅での対応に困ったとき、家族のサポートが必要な時はいつでも相談・対応することができることを伝えておきます。自宅での看取りの経験がないスタッフがいる場合は、経験者に相談しながら訪問を行うのも一つの方法です。
3.家族に亡くなる前の症状や兆候について説明を行う
家族が看取りの経験があるかどうかを確認しながら、臨死期が近づいた場合の状態変化や対応についてどのように対応すれば良いいのか、パンフレットなどを用いて説明します。
ご家族でもわかりやすく臨死期の症状について説明がなされているパンフレットが無料でダウンロード できるようになっていますので、参考にしてみてください。
http://gankanwa.umin.jp/pdf/mitori02.pdf
出典:看取りのパンフレット|がん対策のための戦略研究
「緩和ケア普及のための地域プロジェクト』
4.「看取り」に関連する訪問看護の加算を確認する
在宅で看取りを行う場合、看取りのサービスに対する加算を算定することができます。皆さんが一生懸命に取り組んだケアの対価になりますので、忘れないように算定します。
例えば末期の悪性腫瘍でターミナルのケアの説明や療養上に必要な説明を行った上で訪問し、ご自宅で看取られた場合は、
- 医療保険での介入・24時間対応体制加算・緊急時訪問看護加算
- ターミナルケア療養費Ⅰ
などが挙げられます。毎回の看護記録を簡潔かつ丁寧に行い、請求漏れがないようにします。
ご本人とご家族が望む最期を
以上、訪問看護における看取りについてのポイントを上げてみました。
在宅での看取りは病院で異なる部分が多く見られます。このポイントを踏まえ上で、患者さんやご家族に応じたケアを行っていくことが大切です。
“在宅看護指導士”の資格では、各疾患の看取りの看護や加算について、項目別に学ぶことができるカリキュラムとなっております。
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・資格試験
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