急変対応が不安…まずは急変を起こさない! そしてチームで備えよ!
実際の訪問では、さまざまな職種が1人で訪問し、時には専門外の内容や課題に直面することがあります。
緊急時には時間的な猶予もなく、「判断の迷い」や「焦り」など、皆さん経験したことがあるのではないでしょうか?
在宅において、急変が起こる可能性に備えてチームで連携することがどれほど重要かを考えてみましょう。
急変時のための事前準備
対応やスキルも重要ですが、利用者の状況やリスクをチームと共有し、医師や家族、関連機関との連絡体制を事前に整備しておくことも重要です。
情報を整理・共有
急変時に、利用者・家族が望まない救命処置や救急搬送に至らないよう注意します。
利用者・家族の意向、チームの方針や対応を認識し、双方が同じ方向へ進めるように日頃から情報を共有しておくことが大切です。
日頃から観察・判断力を高める
まず急変の状況にならないためには、日々予測される利用者の状態の変化や合併症などを想定しながらケアを行うことが大切です。
それは異常の早期発見につながるだけではありません。
急変が起こっても、予測された出来事として捉えれば、比較的冷静な判断や態度での対応が可能となります。
急変に遭遇する機会が少ない、経験値がないから不安!?
急変がない、夜間の緊急コールが鳴らないことは、利用者・家族が安全・安楽な住み慣れた場所で過ごせていると捉えることもできます。
実際に急変に遭遇する機会は少ないですが、一部のスタッフが体験した急変事例を未経験者へと伝え、その体験を共有することはできます。
緊急度や重症度の判断や対応、過程について、考えを言語化し、多職種の見解なども共有することでさらに判断や対応の精度が高まります。
緊急時の連絡先
利用者と家族、そして急変に遭遇したスタッフが連絡先を迷わないように、一元化して管理し共有します。
利用者の携帯電話に医療機関や訪問看護ステーション、介護支援専門員などの連絡先を登録し、自宅に一覧を掲示します。
また、緊急情報シートなどを作成し設置することで、関連機関との連携もスムーズに行うことができます。
さらに事前に救急搬送先の病院を選定していれば、一刻の猶予がない状況で搬送先を探す時間も短縮できます。
チームでの共有と多職種連携
安全で迅速な緊急対応の実践を目指して、まずは急変時マニュアルや訓練など体制を整え、緊急事態におけるステップや手順を確認しておきましょう。
日々の状態変化や予測される症状に備え、その対応(頓服の使用・処置など)について、医師への事前指示の確認や処置に必要な物品の整備が重要となります。
また看取りを行う場合なども、連絡体制や手順、DNAR(蘇生処置を実施しない)の意思表示なども確認しておきます。
実際の現場ではその場に遭遇した者が対応するため、必ずステーション内での情報共有やオンコールスタッフへの申し送りを行います。
自分の対応力、その環境でできる限界も知っておくこと
在宅医療における急変に対する迅速かつ的確な対応は、患者の安全を守るために欠かせません。
緊急事態が起こってから動くのではなく、常にあらゆる「もしも!?」を想定し、「こんなときはどうする?」をイメージしておきます。
そして、現場で判断や対応に迷いがあれば、1人で解決しようとするのではなく管理者や臨床指導者レベルの看護師へ相談しましょう。
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