一般社団法人全国在宅医療マネジメント協会

お知らせ

誤嚥したときの対応と、窒息時の対応

在宅看護指導士

誤嚥や窒息は、高齢者や嚥下機能が低下している方にとっては身近で危険なリスクです。在宅ではすぐに判断できる医療資源も十分ではないため、いざという時に慌てず対応できるよう、普段から知識を身につけておきましょう。

本記事では、誤嚥の基礎知識から対処法、窒息時の対応までわかりやすく解説しています。

誤嚥が起こる原因

誤嚥には、大きく分けて顕性誤嚥不顕性誤嚥があります。

顕性誤嚥

むせ込みがある誤嚥を顕性誤嚥と言います。

通常、食事の際に、食道に通るべき食物が気管に入ってしまいそうになることを防ぐために咳嗽反射が生じてむせます。

高齢者や脳卒中の後遺症などで嚥下機能が低下したり、咳嗽反射が生じない場合に誤嚥しやすくなります。

不顕性誤嚥

むせ込みがなく、知らない間に起こる誤嚥を不顕性誤嚥と言います。

高齢者や脳卒中の後遺症などで喉の感覚が低下している場合や、パーキンソン病などドーパミンの働きが低下し咳嗽反射が生じない疾患や、睡眠時など無意識のうちに唾液や胃食道逆流物が気管に流れ込むことで誤嚥します。

誤嚥しやすい人

高齢者の場合、加齢に伴う嚥下反射の遅延、筋力低下などにより嚥下機能が低下することで誤嚥しやすくなります。

また、覚醒が低い場合の飲食には注意が必要です。

誤嚥性肺炎の症状

高齢者の誤嚥性肺炎の場合、通常の肺炎とは違い、初期症状が風邪に似ていることから見逃されることがあります。すぐに検査のできない在宅では、日々の症状への変化の気づきが重要なサインとなります。

・なんとなく元気がないが続く

・食欲不振

・咳

・痰(粘り気があり、膿性痰:黄色~緑っぽい色)

・微熱

誤嚥したときの対応

・むせ・咳き込み

誤嚥を防ごうとする生体防御反応のため、無理に止めようとしたり、飲水を促すことはせず、落ち着くまで待ちましょう。

・痰が絡む

自己排痰が可能であれば、咳嗽やハフィングで排痰を促しましょう。

咳嗽とは、最大吸気をしたのちに「ゴホン」と一気に息を吐くことで排痰を促す方法です。

ハフィングとは、「ハッ、ハッ、ハッ」と強制的に呼気を出すことで排痰を促す方法です。

・誤嚥性肺炎が疑われるとき

すぐに受診するようにしましょう。

特に不顕性誤嚥の場合や、なんとなく元気がないなどの症状が曖昧な場合は、見逃しやすいため早めに受診することが大切です。

窒息の症状

食事中などで、気道に食べ物や異物が詰まることを「窒息」と言います。

窒息は「軽度の窒息」「重度の窒息」に分けられます。

軽度の窒息

軽度の窒息は、自力で力強い咳ができる、いわゆるむせたときのことを指します。

重度の窒息

重度の窒息は、親指と人差し指でのどをつかむ、万国共通の窒息のサインである「チョークサイン」を示すことが多いです。

その他、重度の窒息のサインとして

・話ができない

・全く咳ができない

・息を吸うときの甲高い音がする

・呼吸困難

・チアノーゼ

などがあります。重度の窒息であれば直ちに窒息の解除を試みましょう。

窒息の対処法

軽度の窒息の対応

・介助者は強い咳を促す

・背中をたたく

重度の気道閉塞の徴候が見られる場合は、救急対応システムに連絡するか、以下で説明する重度の窒息解除を実施しましょう。

重度の窒息の対応

成人への窒息解除の方法

 

反応がある→ハイムリック法(腹部突き上げ法)または背部叩打法

(※ハイムリック法は乳児や妊婦に行ってはいけません)

反応がない→心肺蘇生

反応がある場合

ハイムリック法(腹部突き上げ法)

①窒息の確認
②助けることを伝え患者の背中側にまわる
③患者の腰のあたりから手をまわし、患者の腹部の前で拳をにぎる
④もう片方の手で拳を握り、患者のへそより上の剣状突起から離れた腹部に当てる
⑤拳に力を込めて勢いよく引き上げ、腹部を突き上げる
⑥異物が出る、または患者が意識をなくすまで続ける

 

背部叩打法

患者の左右の肩甲骨の中間あたりを手掌基部で力強く叩きます

異物が取り出せたら、腹部を強く圧迫したことによる合併症が生じてないか、メディカルチェックを行いましょう。
また、処置の途中で患者の反応がない場合はCPRを行います。
窒息の解除を行っても「異物除去が困難」であれば救急通報をしましょう。

胸部突き上げ法

妊婦や肥満の為、腹部に手がまわらない場合は、胸部突き上げ法を行います。
圧迫部位はCPRの問と同じく胸骨の下半分です。
ハイムリック法と同じ手順で行いましょう。

反応がない場合

心肺蘇生(CPR)

反応がない場合は心肺蘇生を行います。窒息時のCPRの目的は異物除去です。胸骨圧迫により異物が口腔まで押し上げられているか、胸骨圧迫30回に一度目視で確認を行います。在宅では人工呼吸よりも、救急隊が到着するまでひらすら胸骨圧迫を続けます。その際、スマートフォンの電話はスピーカーモードに、通話中も胸骨圧迫を中断してはいけません。

フィンガースイープ

胸骨圧迫中、口腔内まで異物が押し上げられた場合のみ、可能なら指で異物を取り除きましょう。しかし、盲目的にフィンガースイープを行うことは推奨されていないので、目視で確実に確認できるときのみにしましょう。

異物を探すために心臓マッサージを中断しないでください。

まとめ

いかがだったでしょうか。誤嚥は早期に気づくことが大切であり、万が一の窒息にも迅速に対応できる準備が欠かせません。日頃から正しい知識と観察力を身につけ、安心してケアを提供できるよう心がけていきましょう。

 

参考

1)サニーライフ. 高齢者の誤嚥性肺炎の症状とは?原因や対応、予防法を解説. サニーライフ. 2023. 最終アクセス日:2025年9月30日

2)日本急性期ケア協会. おさえるべき窒息の解除方法. 日本急性期ケア協会. 最終アクセス日:2025年9月30日

3)国立病院機構九州医療センター. 誤嚥性肺炎予防に関する資料. 九州医療センター. 2011. 最終アクセス日:2025年9月30日

4)日本医師会. 気道異物除去の手順. 日本医師会. 2019. 最終アクセス日:2025年9月30日

5)AHA公認ACLS BLS講習会福岡博多トレーニングセンター. 窒息患者に対して胸骨圧迫を実施する理由とは. BLS ACLS.org. 2023. 最終アクセス日:2025年9月30日

 


 

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