「いつもと違う」を見逃さない!急変時対応 - 一般社団法人全国在宅医療マネジメント協会

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「いつもと違う」を見逃さない!急変時対応

在宅看護指導士

在宅看護指導士の認定試験について

 

在宅でいつ起きてもおかしくはない、患者の急変。もし遭遇してしまったら、その場での判断や行動が重要になってきます。重篤化を防ぐために、急変前に何ができるのかを今回お伝えしていきます。

「いつもと違う」の気づき

在宅で、変わらず生活できることが何よりですが、抱えている疾患の急な状態の悪化や流行している感染症の罹患などで予測していなかった状態になることも、しばしばあります。

在宅では医療者が24時間そばにいないため、訪問した時間の中で異変に気づかなければなりません。生活環境の変化や同居されている家族からの情報はとても重要になってきます。

利用者の中には「大丈夫」「しっかり食べている」「問題なく排便は出ている」と話される方も少なくはありません。具体的な量や数値など、どの程度出来ているのかの情報収集を行い、日頃との違いを確認しましょう。

在宅での急変では前兆の気づきが大切であり、適切な初動を行い、早期の検査、治療につなげることができれば、重篤化を防ぐことにつながります。

急変に備えた情報共有が鍵

急変のリスクが高い患者に対しては、起こりうる変化についてスタッフと事前の情報共有を行い、前兆などがある場合は、あらかじめ主治医に相談し指示の確認を行うことで迅速な急変の対応が出来るようになります。

大きな変化でなくても気になることは、スタッフ間でコミュニケーションをとりながら、お互いに確認できるようにしておくことで、急変のリスク前兆に気づく可能性も高くなります。

訪問看護でのオンコール

利用者と家族には体の状態の変化に対してオンコールで連絡をしてもらい、緊急度の判断、重症度の判別をします。病院との大きな違いは、連絡があってから訪問するまでにある程度の時間がかかってしまうことです。

訪問までの間に何をして待ってもらうかを伝えて、訪問に向かいます。

オンコールは、本人もしくは同居の家族が体調の異変に気づき連絡することが多いため、訪問時にオンコールをどのような時に活用してほしいか、患者に合わせた具体例を用いて説明しておきましょう。オンコール体制があることで在宅生活の不安が減ったと話されることは多くあります。

在宅現場での急変事例

患者情報
Aさん
・50代男性
・末期の膵臓がんで抗がん剤治療が体力的に困難になり、在宅見取りを希望し自宅に帰って来た。
・妻と二人暮らし

Aさんは自宅に帰り、成し遂げたいことがたくさんあると話していましたが、病状が悪化し疼痛コントロールのため、持続皮下注射でのオピオイド開始となりました。

数日後、呼吸状態の変化から急変が予測される状態であることを主治医と情報共有し、日中の訪問では奥さんに対して、現在の状態と起こりうる変化について説明をしました。
奥さんは「やり残したことも多く、まだ若いのに…」と心の内を話し、そばで看取る不安について話されました。

オンコールのタイミングは、寝ることがつらそう、眉間に皺があり苦しそう、呼吸がおかしいなど具体的に起こりうる変化について説明し、不安な時はいつでも連絡して良いとお伝えしました。夜間では対応出来るスタッフも少なくなるため、主治医に疼痛時、不穏時の対応について事前に確認しておきます。

その後、夜間疼痛と不穏があり、オンコールがありました。訪問までにかかる時間と呼吸状態の変化があれば再度オンコールをしていただくことをお伝えして訪問に向かいます。
到着し、頓用の坐薬を使用し、疼痛が落ち着きウトウトされるのを確認し退室しました。そして、その日の早朝にお看取りとなりました。

在宅で看取りの場合のオンコールでは、あわてて救急車を呼んでしまわないように、訪問までにかかる時間と落ち着いてお待ちいただくことを合わせてお伝えします。

後日、奥さんとお話しする機会があり「亡くなる前日に思っていることを話せてよかった、オンコールで訪問していただき安心しました」とお話しされていました。

今回の事例では、急変がいつ起こるかわからない状態で看取る家族の不安は測り知れないと感じました。事前に起こりうる変化について予測ができ、オンコールをうまく活用することができれば、少しでも不安を少なくできるのではないかと思います。

 


 

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